就職に有利になるという理由で行政書士の資格を取得しようと考える人は多いと思います。この考えは決して間違いではありませんが、あまりアテにしないことです。
一般的には無いよりもあったほうが、多少は有利に働くという程度ではないでしょうか。もちろん、これが企業の法務部に就職したいといったようなことであれば話は別です。
もし、あなたがそういった職種で働きたいということであれば、業務に必要な知識を身につけるうえでも行政書士資格を取得するのはアリだと思います。
こんなふうに自分のキャリアに対して、ハッキリとしたビジョンがあり、その目的を達成するための手段として明確な理由が存在するのであれば、資格を取得することは役立ちます。
でも、そういったビジョンがなく、ただ資格さえあれば有利だろうという考えで取得を目指すというのは、あまり賢い考え方ではありません。
企業が人を採用する時には、あくまでもその会社にとって戦力となるかどうかという視点で判断します。行政書士資格というのは、その分野に対する専門知識を身につけているという証拠になりますが、企業が求めている知識でなければ、たいして考慮されることはありません。
かなり極端な例をいえば、仮にあなたが地方公務員になりたいとします。田舎で地元の人達だけを相手にするような仕事です。ここで、人気のある資格だからということでTOEICを受験したとして、そのスコアが評価されるでしょうか?
全く評価なしとまではいかなくても、それほど大きくプラスになることはないでしょう。英語を使う場がないからです。
行政書士という資格も一緒です。あなたが目指す職種と関連性があるのであれば役立ちますが、そうでない限りは、無いよりはマシという程度でしか評価されないと考えてください。
就職という観点から行政書士という資格を取得する真のメリット
ただし、行政書士という資格を取得することが就職に役立つかなと思われることもあります。それは、資格取得という目的を達成するまで努力を続けることが出来たということです。
行政書士というのは、決して簡単な資格ではありません。合格するまで早い人でも半年、通常は1~2年はかかると言われています。もちろん、合格率自体が10%を切っているので、途中で挫折している人が大半です。
取得しようと思って誰でも出来ることではなく、それだけのことをやり遂げたという経験は大きいです。自信につながりますし、そういった経験を通じて自分自身の人間性を高めることが出来ます。
何かに打ち込んできた経験を持つ学生を企業は採用するといいますが、その背景は、こういった経験から得るものがあることを分かっているからです。
人間性というのは数値などで明確に表現出来るものではないので、具体的に説明するのは難しいのですが、一目でそうと分かるものです。まして、毎年何人もの学生を見てきている人事担当者であれば尚更です。
就職活動という観点からみれば、行政書士という資格そのものに価値があるというよりも、資格を取得したという経験に価値があるということです。そういった意味で、チャレンジしてみるというのは、とてもいいことです。オススメです。