司法書士として独立開業することがいよいよ具体的になってくると、途端に気になりだすのが開業資金です。
いったい、どれくらい用意すればいいのか?
こういった疑問を持つ人は少なくないのですが、答えがないというのが正直なところです。
最低限、必要な司法書士開業資金
司法書士として活動するには、日本司法書士会連合会が所有する司法書士名簿に登録しなければいけません。登録料に25000円がかかりますが、これはどうあっても必要なコストです。
ここを避けて通ることは出来ないので、必須の費用となりますが、正直なところ、それ以外には絶対に必要というコストは存在しません。
たとえば、自宅を事務所にすればオフィス代はかかりません。電話やパソコン、プリンター、文房具なども、自宅にあるものを使えば、新たに用意する必要はありません。
強いていえば、営業用の名刺を用意するための印刷代ぐらいでしょうか。(これも、その気になれば、自宅のプリンターで間に合います。)
こう考えると、開業コストは限りなくゼロに抑えることが出来ます。
ちなみに、仮に電話やパソコンといった設備を全てゼロから揃えるとしても、20~30万円も用意すれば間に合います。個人でも十分に用意出来る金額なので、開業資金について心配する必要は殆どないと言えます。
銀行から借金をしてといった資金繰りを気にする必要は、まずないでしょう。
重視すべきは司法書士として軌道に乗るまでの生活費
それよりも重要なことは生活費です。独立した時点で、既に仕事があるという人は気にする必要はありませんが、ゼロから営業をして顧客を獲得するという場合、すぐにうまくいくとは限りません。
顔つなぎをして、コミュニケーションを深めて信頼性を高めていって・・・といった地道な努力が求められますが、ある程度の時間がかかるのは避けられません。
その間は無収入ですから、それでも食べていけるだけのお金は必要です。最低、半年分、出来れば1年分ぐらいは用意したほうがいいでしょう。
そんなに貯めるのは大変と思う方もいるかもしれませんが、そういった人ほど貯めるべきです。
それぐらいのお金を貯められない人間が、独立してうまくいくことはありません。貯金をするには、もちろん仕事をして収入を得なければいけませんし、生活費を抑えて、お金を余らせなければいけません。
これって、経営の基本なので、ある意味、独立に備えた格好のトレーニングになります。
それから、貯金というのは心の余裕にもつながります。『あと1年は食べていける』と思える状態と、『1ヶ月以内に仕事を取らないと、家賃すら払えなくなってしまう』と焦りを感じる状態では、仕事のパフォーマンスが違ってきます。
正直、不安や焦りでいっぱいといった心境では、まともに仕事をすることは出来ないでしょう。また、そういった心理状態は態度にも出ますが、焦って落ち着きがないような司法書士に仕事を依頼する人間はいないので、ますますドツボにはまります。
心の平静というのは、仕事で結果を出すうえで、非常に重要な要素です。余裕をもって仕事に取り組むためにも、ある程度の貯金は絶対に必要です。
司法書士として勤務しながら貯金する
司法書士の資格を取得したからといって、いきなり独立するのは無謀です。どこかの司法書士事務所に勤務出来れば、それが出発点としてはベストです。
実務の勉強も出来ますし、事務所の運営方法も学べます。収入を得ながら、独立して成功するために必要なスキルを身につけることが出来るのですから、一石二鳥です。
特に司法書士の場合、他の士業と違い、試験勉強では学べない知識がたくさんあります。それらは仕事をしてみないと学べないので、そういった意味でも、まずはどこからの事務所で修行するというのがオススメです。
先輩の司法書士とのつながりを持てるということで、人脈形成の一環にもなります。
フルタイム勤務が難しければ、他のバイトと掛け持ちしながら、週2日だけ働かせてもらうといったやりかたもアリです。経験を積んでスキルアップするのが目的なので、働く場を得ることを最重視しましょう。
こうやって準備を万端にしてから司法書士として独立するというのが、無理がないやりかたです。